「ダイナマイト…………ダイナマイトは要りませんか…………」
「ダイナマイト…………」
「ダメだ…………全然売れない…………」
「先日誤爆したオフィスの修理代もまだ出せてないのに、今日もノルマ未達成で帰ったりしたら絶対上司に小言を言われちゃうよ…………」
「寒い…………こんな寒い日に外周りの営業行かせるなんて頭おかしい…………余ったダイナマイトで弊社爆破しよっかな…………」
「ダイナマイト…………」
「……………………」
「(これに火を付けたら暖かいのでは…………?)」
「………………………………………………………………」
「(スッ…………)」
「ジュボッッ」
「ジリリリリリリ」
「あったかい…………」
ダイナマイトの導火線が少女を優しく照らしています。
温もりにつられて、いくつかの懐かしい記憶が思い浮かびました。
「あれは…………」
「おばあちゃんだ…………正月の親戚の集まりくらいでしか会う機会なかったけど優しいおばあちゃんだったな…………」
「ご飯を食べてるときのおばあちゃんだ…………サバの味噌焼きが好きって言ってたな…………」
「またご飯を食べてるときのおばあちゃんだ…………最近出前館に爆ハマりしたせいで毎月のカードの支払いがヤバいって言ってたな…………」
「またご飯を食べてるときのおばあちゃんだ…………」
「ご飯差分多いな…………」
「記憶のバリエーションに偏りがあるっていうか…………走馬灯がボキャ貧のパターンって初めてかも…………」
「これは確かネットサーフィンしてるときのおばあちゃんだ…………『孫に似てる』って理由で気まぐれクックの動画全部見てたな…………」
「これは…………」
「……………………?」
「あ…………」
「いらすとやのおばあちゃんだ…………」
「何故いらすとやのおばあちゃんが走馬灯に…………?」
「今からお前になぞなぞを出題する…………もし答えられなかったらお前の命は頂いていくぞ…………」
「そんな…………」
「Q.お金持ちの芸人ってなーんだ?」
「さあ、答えよ!!」
「お金持ちの芸人?どうしよう、エンタの神様とか全然見ないから分かんないよ…………」
「あきらめるな────」
「その声は…………?」
「ファブル…………」
『ザ・ファブル』は、南勝久による日本の漫画。『週刊ヤングマガジン』(講談社)で2014年49号から2019年51号まで第1部が連載された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%96%E3%83%AB#cite_note-3
「お金持ちの芸人について一人心当たりがある────」
「昔、”永野”という芸人がテレビで『ゴッホよりラッセンの絵が好き』という発言をしていた────」
「おそらく奴は芸術品を買い漁っている成金に違いない────」
「なるほど…………」
「僕も永野だと思う!!」
「私の記憶の中のねづっち…………」
「俺もそう思う───」
「ファブルねづっち───」
「悪いが時間だ!!答えを聞こう!!!!」
「なぞなぞ『Q.お金持ちの芸人ってなーんだ』の答えは…………」
「『永野』!!!!!!」
おしまい